「個人事業主になるって決めたけど、何から手をつければいいの?」
「手続きとか準備とか、漏れがないか不安……」

独立前後は、やることが多すぎて頭が混乱しますよね。

この記事では、個人事業主が開業前〜1年目までにやることを、時系列のリストにまとめました。

書いているのは、制作会社17年→2022年に独立した、フリーランス3年目のデザイナーです。正直に言うと、私は深く考えずに独立してしまったクチで、「やっておけばよかった……」と後悔したことが山ほどあります。この記事は、当時の私が喉から手が出るほど欲しかったリストです。

成功談だけでなく、私のリアルな失敗談も交えてお伝えするので、ぜひ反面教師にしてください。

このリストの使い方

やることを「開業前」「開業時」「開業直後」「1年目」の4つの時期に分けています。上から順にチェックしていけば、大きな漏れは防げるはずです。

記事の最後に一覧チェックリストも用意したので、ブックマークしておいて、進み具合の確認に使ってください。

【開業前】にやること

生活費1年半〜2年分の貯金を確保する【最重要】

いきなりですが、これが一番大事です。少なくとも生活費1年半分、できれば2年分の貯金を用意してから独立してください。

「1年分あれば十分でしょ?」と思いますよね。私もそう思って、生活費1年分を用意して独立しました。それでも足りなかった、という話をします。

独立後、仕事が思うように受注できない時期が半年、1年と続きました。1年分あった蓄えは、9ヶ月分、半年分、3ヶ月分……と、みるみる減っていきました。残高が減っていく通帳を見るたびに胃が痛くなる、あの感覚は今でも忘れられません(笑い話にできるのは、乗り越えた今だからです)。

さらに想定外だったのが、売上が実際に入金されるまでのタイムラグです。仕事を納品しても、入金は翌月末や翌々月。「受注できた!」と「お金が入った」の間には大きなギャップがあり、最初はこれに苦しみました。

収入が不安定な時期に貯金が薄いと、焦りから安い案件を受けてしまい、さらに苦しくなる悪循環に陥ります。お金の余裕は、心の余裕。そして心の余裕は、仕事の質と単価に直結します。

案件の目処を立てる(「なんとかなる」は危険)

開業してから営業を始めるのでは遅すぎます。独立前に、最初の収入源の目処を立てておきましょう。

これも私の失敗談です。私は独立時、前職関係の業務委託で当面の仕事が決まっていました。「最初の収入はある」という安心感から、営業への危機感が完全に薄れていたんです。

ところが、その業務委託は条件面が合わず、半年でこちらからお断りすることになりました。謎の自信を持って独立した私の計画は、まったく思い通りに進みませんでした。

教訓は2つです。

  • 収入源が1つだけの状態は、会社員と同じくらい脆い
  • 既存のツテに頼りつつも、新規の営業・種まきは独立前から始めておく

SNSアカウントを育て始める

今の時代、SNSは強力な営業チャネルです。そして、SNSのフォロワーや信頼は一朝一夕には育ちません。

だからこそ、独立前からコツコツ発信を始めておくことを強くおすすめします。独立した瞬間に「見てくれる人」がいる状態を作れたら、スタートダッシュがまったく違います。

……と、偉そうに書いていますが、私自身もSNS運用はまだまだ発展途上です。これは「先輩の失敗を踏むな」という意味で受け取ってください。

事業用メールアドレスと名刺を用意する

地味ですが必須の準備です。

事業用のメールアドレスは、プライベートと分けて必ず用意しましょう。仕事の連絡が私用メールに埋もれる事故を防げますし、取引先からの信頼感も違います。

名刺も独立直後の挨拶回りや交流で必ず使うので、開業前に作っておくとスムーズです。デザイナーの場合は名刺自体がポートフォリオの一部になるので、しっかり作り込む価値があります。

備品・ソフト・サービス契約を洗い出す

「デザイナーはPC1台あれば仕事できる」と思っていませんか? 私もそう思っていました。実際は、想像以上に揃えるものが多いです。

私の場合、こんなものが必要になりました。

  • ハード:外付けHDD、ペンタブレットなどのPC周辺機器、デスク周りの備品・収納
  • ソフト:Adobe Creative Cloud、Microsoft Office など
  • クラウドサービス:Dropbox などのストレージ、会計ソフト
  • コミュニケーションツール:Slack、Chatwork など(取引先によって指定が違う)
  • AIツール:Claude、ChatGPT など

1つひとつは数千円でも、合計すると毎月の固定費はそれなりの金額になります。開業前に「自分の仕事に必要なもの」をリストアップして、費用感を把握しておきましょう。ここを見積もらずに独立すると、想定外の出費に焦ることになります。

【開業時】にやること

開業届を提出する

個人事業主としてのスタートラインが、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の提出です。税務署に出すだけで、費用はかかりません。

書類の作成は、無料で使える作成サービスを使うと、質問に答えるだけで完成するのでラクです。

青色申告承認申請書も「同時に」出す【忘れると損】

開業届とセットで、青色申告承認申請書も必ず出してください。

これを出し忘れると、その年は白色申告しかできず、最大65万円の特別控除が受けられません。提出期限は原則「開業から2ヶ月以内」。後から「知らなかった……」と後悔する人が本当に多いポイントなので、開業届と同じ日に出してしまうのが確実です。

【開業直後】にやること

事業用の銀行口座を開設する

プライベートの口座と事業用の口座は、必ず分けましょう

混ざっていると、帳簿付けのときに「これは事業の支出?私用?」の仕分けで地獄を見ます。事業用口座を1つ作って、仕事の入出金をそこに集約するだけで、お金の管理が劇的にラクになります。

ネット銀行なら開設も無料で、屋号付き口座が作れるところもあります。

会計ソフトを導入する

開業したら、できるだけ早く会計ソフトを導入してください。「確定申告の前でいいや」は危険です。

私は1年目、日々の帳簿付けをサボった結果、確定申告前にレシートの山と格闘して整理だけで2〜3日かかりました。ソフトを最初から入れて、口座・カードを連携しておけば、日々の記録はほぼ自動です。

事業用クレジットカードを作る

事業の支出用に、クレジットカードも事業用を1枚用意しましょう。口座と同じく、私用と混ざると帳簿が大変なことになります。

なお、「クレカは会社員のうちに作っておけ」とよく言われますが、私は独立後に事業用口座とカードを作りました。自営業だから作れない、ということはありません。ただし一般論として、収入が安定しない初期は審査に通りにくい場合もあるので、不安な人は在職中に作っておくと安心です。

【1年目】にやること

帳簿付けを「習慣」にする

会計ソフトを入れたら、週1回でいいので帳簿を確認する習慣をつけましょう。

前述のとおり、私はこれをサボって確定申告前に苦しみました。溜めなければ、1回あたりの作業は数分です。「金曜の朝はマネフォを開く」のように、曜日で決めてしまうのがおすすめです。

国民健康保険・国民年金の手続き

会社を辞めたら、14日以内に国民健康保険と国民年金への切り替えが必要です(市区町村の窓口で手続き)。

会社員時代より保険料の負担感が増すので、ここも事前に金額を調べておくと、心の準備ができます。

確定申告の準備を進める

1年目の総仕上げが確定申告(毎年2月16日〜3月15日)です。

日々の帳簿付けができていれば、会計ソフトが書類をほぼ自動で作ってくれるので、怖がる必要はありません。私も初めての青色申告は「思っていたより簡単」でした。

やることリスト一覧【チェックリスト】

最後に、ここまでの内容を一覧にまとめます。保存・スクショ推奨です。

時期やること重要度
開業前生活費1年半〜2年分の貯金を確保★★★
開業前案件の目処を立てる・営業の種まき★★★
開業前SNSアカウントを育て始める★★
開業前事業用メールアドレス・名刺の用意★★
開業前備品・ソフト・サービスの洗い出しと費用見積もり★★
開業時開業届の提出★★★
開業時青色申告承認申請書の提出(開業届と同時に)★★★
開業直後事業用銀行口座の開設★★★
開業直後会計ソフトの導入★★★
開業直後事業用クレジットカードの作成★★
1年目帳簿付けの習慣化(週1確認)★★★
1年目国民健康保険・国民年金の切り替え(退職後14日以内)★★★
1年目確定申告(2月16日〜3月15日)★★★

まとめ:完璧より「順番に一つずつ」

個人事業主のやることを時系列で紹介しました。

リストを見ると「多いな……」と感じるかもしれません。でも、全部を一気にやる必要はありません。時期ごとに、一つずつ順番につぶしていけば大丈夫です。

私のように「深く考えずに独立して、後から胃が痛くなる」のは、なかなかしんどい経験です(笑)。このリストが、これから独立するあなたの転ばぬ先の杖になればうれしいです。

まずは開業の第一歩、開業届の準備から始めてみましょう。