個人事業主の電子帳簿保存法|PDF請求書をメールで送っている時点で対象です
「電子帳簿保存法って、うちみたいな一人でやってる個人事業主にも関係あるの?」
結論から言うと、あります。
PDFの請求書をメールで送っている。ネットで買った経費の領収書をダウンロードしている。それだけで対象です。私も請求書はPDFにしてメールで送っています。
この記事では、制作会社17年→独立し5年目のデザイナーである私が、個人事業主にとって必要な部分だけを整理します。難しい制度ですが、やることは思ったより少ないです。
※制度の条件は変わります。最新情報は国税庁で確認し、判断に迷う場合は税理士に相談してください。
結論:メールでPDFをやりとりしていれば対象
電子帳簿保存法には3つの区分がありますが、個人事業主が必ず対応しなければいけないのは「電子取引データ保存」だけです。
これは2024年1月から完全に義務化されています。猶予期間はもう終わっています。
対象になるのは、こういうやりとりです。
- メールで受け取った請求書・領収書のPDF
- Amazonや楽天などのサイトからダウンロードした領収書
- クラウド請求書サービス上のデータ
- 自分がメールで送った請求書の控え
ポイントは、「データで受け取ったもの・送ったものは、データのまま保存する」というルールだということ。
紙で受け取った領収書は、これまでどおり紙で保管して問題ありません。紙をスキャンする義務もありません。あくまで「最初からデータだったもの」の話です。
「1000万円以下」で調べている人へ
ここが一番伝えたいところです。
電子帳簿保存法を調べていると「売上高1,000万円以下なら検索要件が不要」という情報が出てきます。この数字は古いです。
令和5年度の税制改正で、基準は5,000万円以下に拡大されました。
つまりほとんどの個人事業主が、この緩和措置の対象になります。ネット上には改正前の記事が残っているので、古い数字を見て「うちは対象外だ」と諦めてしまうともったいない。
判定に使うのは基準期間(個人事業主は前々年)の売上高です。
ただし条件があって、税務調査でデータの提示・提出を求められたら応じられる状態にしておく必要があります。要は「探せば出せる」状態にしておく、ということです。
やることは、大きく2つだけ
要件は「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つに整理できます。
①真実性の確保(改ざんされていないこと)
方法は主に3つ。どれか1つを満たせばOKです。
- タイムスタンプを付与する
- 訂正・削除の履歴が残るシステムを使う
- 事務処理規程を作って備え付ける
個人事業主が現実的に選ぶのは、下の2つです。事務処理規程は国税庁がひな型を公開しているので、ダウンロードして事業者名を書き換えるだけで作れます。コストはゼロです。
②可視性の確保(すぐ見つけられること)
「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できる状態にしておく、というものです。
ただし前述のとおり、売上5,000万円以下なら検索要件は不要。ダウンロードの求めに応じられれば大丈夫です。
とはいえ実務上は、ファイル名を決めておくのが結局ラクです。会計事務所が紹介している例だと、こういう形。
20260115_10780_Xserver_請求書.pdf
(日付_金額_取引先_内容)
フォルダを年月で分けて、この命名規則で入れておく。専用システムがなくても、これで対応できます。
【実体験】私は会計ソフトに任せています
私の場合、専用のフォルダ管理はしていません。マネーフォワードの中に保存する形にしています。
理由は単純で、保存する場所と記帳する場所を分けたくなかったからです。
請求書はマネーフォワードの機能で発行してPDFにし、メールで送付。受け取った領収書や請求書も、そのまま同じ場所に残す。帳簿と証憑が同じところにあるので、探すときに迷いません。
会計事務所の解説によると、freeeやマネーフォワードの証憑管理機能を使っている場合はタイムスタンプが自動付与されるため、事務処理規程は不要とされています。使っているソフトがどう扱われるかは、一度確認しておくといいと思います。
正直に書くと、私は「これで完璧に要件を満たしている」と胸を張れるほど詳しくありません。ただ、少なくとも「メールボックスに放置している」状態ではない、という程度には整理できています。
ここは自己判断で済ませず、心配なら税理士に確認するのが確実です。
対応しないとどうなる?
「守らなかったらどうなるのか」は気になるところだと思います。
正直に言うと、個人事業主が電子帳簿保存法だけを理由に、いきなり重い処分を受けるという話は現実的ではありません。
ただし、青色申告の承認に影響する可能性や、税務調査で保存状況を指摘される可能性はあります。何より、必要な書類がすぐ出てこない状態は、自分が困ります。
私は独立1年目に帳簿を溜めて痛い目を見たので、「後で探せばいい」が一番危ないというのは身に染みています。ルールへの対応というより、自分の仕事を守るための整理だと考えるほうが続くと思います。
まとめ
- PDFの請求書や領収書をやりとりしていれば対象。2024年1月から義務化済み
- 紙で受け取ったものは紙のままでOK。スキャン義務はない
- 検索要件が不要になる基準は**「1,000万円以下」ではなく5,000万円以下**(前々年の売上高)
- やることは真実性(事務処理規程かシステム)と可視性(探せる状態)の2つ
- 事務処理規程は国税庁のひな型を書き換えるだけでコストゼロ
- 私は会計ソフトの中に保存して、帳簿と証憑を同じ場所にまとめている
構えるほど大変な制度ではありません。ただ、「どこに置いたか分からない」状態だけは避けたほうがいい。それだけの話だと思っています。
制度の条件は変わります。最新情報は国税庁で確認し、迷う場合は税理士に相談してください。
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