個人事業主のセーフティ共済は保険料対策になる|国保・年金と合わせて考える私の実体験
会社を辞めてフリーランスになるとき、意外と見落としがちなのが健康保険と年金の切り替えです。そして切り替えたあとに待っているのが、「保険料、こんなに高いの……?」という現実。
私は制作会社17年→独立し4年目のデザイナーですが、この保険まわりでは、国保と文芸国保を行ったり来たりするなど、けっこう試行錯誤してきました。
この記事では、会社員→フリーランスで必要な切り替えと、私が実際にやってきた保険料の工夫を、実体験を交えて解説します。
この記事の結論を先に
会社員からフリーランスになると、健康保険も年金も全額自己負担になり、保険料の重さに驚きます。私自身、国保と文芸国保を行き来したり、年金の上乗せを検討したりと試行錯誤してきました。
そして今、保険料・税金の対策として一番効いていると感じているのが、経営セーフティ共済です。掛金が全額経費になるので所得を下げられ、国保や税金の負担を抑えながらお金を積み立てられます(しかも一定期間納めれば解約時にほぼ全額戻る)。
この記事では、保険・年金の切り替えから、私が実際にやっている保険料対策(文芸国保・セーフティ共済)まで、実体験を通して解説します。
※健康保険・年金・税金の制度は、お住まいの自治体や個々の状況によって変わり、改正もあります。この記事は一般的な仕組みと私の実例の紹介です。具体的な判断は、年金事務所・自治体・税理士に確認してください。
会社員→フリーランスで切り替える2つのもの
まず、退職して個人事業主になると、次の2つを自分で切り替える必要があります。
- 健康保険:会社の健康保険 → 国民健康保険(国保)へ
- 年金:厚生年金 → 国民年金へ
どちらも、退職後原則14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で手続きします(マイナ手続き等で対応できる場合もあります)。会社員時代は保険料が給料天引きで、会社が半分負担してくれていましたが、フリーランスは全額自己負担。ここで負担感がぐっと増えます。
なお健康保険は、退職後すぐに国保へ切り替えるほかに、**会社の健康保険を任意で続ける「任意継続」**という選択肢もあります(申請期限が短いので注意)。どちらが安いかは人によって変わるので、退職前に両方の保険料を比べておくと安心です。切り替えの段取りは個人事業主のやることリストでもまとめています。
【実体験】健康保険は「国保だけ」じゃない — 私の国保⇄文芸国保の遍歴
ここからが本題です。フリーランスの健康保険には、実は国保以外の選択肢もあります。私自身の遍歴を紹介します。
①独立直後:国民健康保険
独立してすぐは、そのまま国民健康保険に加入しました。国保の保険料は、前年の所得に応じて決まります。独立1年目は所得もそれほど高くなかったので、特に問題は感じませんでした。
②所得が上がって「文芸国保」へ
ところが、2回目の確定申告を終えたあたりで、所得が上がったぶん国保の保険料も上がり、負担が重くなってきました。
そこで切り替えたのが、**文芸美術国民健康保険組合(通称:文芸国保)**です。これは、デザイナーやイラストレーターなど、クリエイティブ系の仕事をする人が、加盟する団体を通じて入れる健康保険組合です。
最大の特徴は、**保険料が所得に関係なく“定額”**なこと。国保は所得が上がるほど保険料も上がりますが、文芸国保は一定。そのため、所得がある程度高くなると、国保より文芸国保の方が安くなるケースが出てきます。私はまさにこのタイミングで乗り換えました。
③家族が増えて、また国保へ
その後、3人目の子どもが生まれたタイミングで、上の子たちも私の健康保険(扶養)に入れることになりました。そこで改めて国保と文芸国保を試算してみたところ、結果は逆転。
文芸国保は、家族(加入者)が増えると、その人数ぶん定額の保険料がかかります。一方の国保は、自治体によっては家族が増えても軽減の仕組みがある場合があり、私のケースでは家族が増えたぶん、国保の方が安くなる試算になりました。そこで、また国保に戻したというわけです。
教訓:保険は「所得」と「家族構成」で最適解が変わる
私の遍歴からお伝えしたいのは、フリーランスの健康保険は、所得と家族構成によって、有利な選択が変わるということです。
- 所得が高い → 定額の**国保組合(文芸国保など)**が有利になりやすい
- 家族(扶養)が多い → 人数ぶん定額がかかる組合より、国保が有利なことも
「国保一択」と思い込まず、自分の職種で入れる国保組合がないか、一度調べてみる価値はあります。※加入条件・保険料は組合や自治体によって異なり、変わることもあるので、必ず各公式窓口で確認してください。
【年金】国民年金への切り替えと、「上乗せはあえてやらない」私の判断
年金は、厚生年金から国民年金への切り替えになります。会社員時代より将来の受給額は下がるため、それを補う上乗せの制度(国民年金基金・iDeCo・付加年金など)が用意されています。
ただ、私はiDeCoには入っていません。理由は主に3つです。
- 資金の流動性を優先したいから:フリーランスは収入が不安定なので、いざというときに動かせる現金を手元に残しておきたい。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、資金がロックされる点が、自分の考えとは合いませんでした
- 老後資金の役割は、NISAで補えると考えているから:iDeCoを「退職金・老後資金の積み立て」として使う人は多いと思います。でも私は、その役割はNISAで果たせると考えています。NISAも運用益が非課税で、しかもいつでも引き出せる(流動性がある)。「非課税で老後資金を育てる」のが目的なら、手元資金の自由が利くNISAの方が、自分には合っていると感じています
- 「税の繰り延べ」の側面もあると感じるから:iDeCoの掛金は所得控除になりますが、受け取るときには課税されます。節税というより“先送り”に近い面もあるな、というのが私の受け止めです
ただし、これはあくまで私の状況での判断であり、iDeCoにはNISAにない強みもあります。最大のポイントは、掛金が全額所得控除になる=毎年の税金が下がること。これはNISAにはないメリットです(NISAは掛金そのものの節税効果はありません)。ほかにも運用益が非課税、受け取り時に退職所得控除などの優遇があるなど、老後資金づくりとしては非常に有力です。
つまり、**「毎年の節税もしっかり取りたいならiDeCo」「流動性を保ちたいならNISA」**のように、何を優先するかで選ぶのが正解です。私は流動性を重視してNISAを選んでいますが、収入が安定していて節税メリットを最大化したい人には、iDeCoはむしろおすすめできます。自分の収入の安定度やライフプランに合わせて判断してください。
【保険料対策】経費になる「経営セーフティ共済」を活用
もう一つ、今年から私が始めた取り組みを紹介します。**経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)**への加入です。
本来これは、取引先が倒産したときに備えるための共済制度です。ただ、フリーランス目線で見逃せないのが、払った掛金が全額「経費」になるという点。
掛金を経費にすると、その分だけ所得が下がります。そして、これまで見てきたとおり、国保の保険料や所得税・住民税は所得に連動しています。つまり、セーフティ共済に掛金を払うことで、保険料や税金を抑えつつ、お金を積み立てられるわけです。私はこの「保険料対策」の意味合いで加入しました。
しかも、iDeCoと違って一定期間(40か月以上)納めれば、解約時に掛金がほぼ全額戻ってくるので、資金の流動性も比較的保てます。私が流動性を気にする性格でも取り入れられたのは、この点が大きいです。
ただし注意点も。解約して受け取ったお金は、その年の収入(益金)として課税されます。「払うときは経費、受け取るときは収入」なので、受け取るタイミング(出口)を考えておかないと、逆に税金が増えることもあります。掛金の上限や加入条件、税務上の扱いは変わることもあるので、導入前に必ず公式情報や税理士に確認してください。
まとめ:切り替えて終わりじゃない。「保険料をどう抑えるか」まで考えよう
会社員→フリーランスの保険・年金について、実体験をもとに解説しました。
- 退職後は、健康保険(→国保)と年金(→国民年金)を14日以内に切り替え
- 健康保険は国保だけでなく文芸国保などの組合も選択肢。所得と家族構成で有利な方が変わる
- 年金の上乗せ(iDeCo等)は、流動性を重視して私は見送り。ただしiDeCoにも節税・運用のメリットあり。自分の状況で判断を
- 経営セーフティ共済は、掛金が経費になり所得を下げられるので、保険料・税金対策になる(※出口の課税に注意)
保険料や税金は「所得」に連動するものが多いので、日々の所得と経費を正確に把握しておくことが、そのまま対策の土台になります。私が使って4年目のマネーフォワードなら、口座やカードを連携して所得・経費を自動で管理できるので、こうした判断の材料もそろえやすくなります。会計ソフトの選び方は青色申告と会計ソフトの記事で詳しく解説しています。
繰り返しになりますが、保険・年金・税金は個々の状況で最適解が変わり、制度の改正もあります。具体的な判断は、年金事務所・自治体・税理士に確認してください。この記事は、選択肢を知るためのヒントとして使ってもらえたらうれしいです。
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