「個人事業主って退職金ないけど、老後資金どうすればいいの?」 「NISAとiDeCo、どっちをやればいいの?」

会社員と違って、個人事業主には退職金も厚生年金もありません。老後資金は、自分で作るしかない——独立したとき、この現実にけっこう本気で焦った記憶があります。

この記事では、制作会社17年→独立し4年目の私が、実際にやっているNISAでの資産形成を紹介します。なぜiDeCoではなくNISAを選んだのか、小規模企業共済やセーフティ共済とはどう使い分けるのか。個人事業主ならではの「選び方の軸」を、実体験ベースでお話しします。

毎月コツコツ積み立てて数年。やってみて分かったことを、正直に書いていきます。

※投資はあくまで自己責任です。この記事は制度の一般的な仕組みと私の実例の紹介であり、特定の商品や投資判断をおすすめするものではありません。最終的な判断はご自身で行い、必要に応じて専門家に相談してください。

前提:個人事業主に「退職金」と「厚生年金」はない

まず、会社員と個人事業主の老後の違いを整理しておきます。

会社員には、退職金と厚生年金があります。将来の備えの土台が、働いているだけである程度できていく仕組みです。一方、個人事業主にあるのは国民年金だけ。厚生年金の上乗せはなく、退職金もありません。

つまり個人事業主は、老後の資金を「自分で・意識的に」作る必要があるわけです。私も独立するとき、収入や仕事のことばかり考えていて、このことに気づいたのは正直あとからでした。

そして「自分で作る」ための代表的な選択肢が、NISA・iDeCo・小規模企業共済などの制度です。この記事では、その中で私が実際に使っているNISAを軸に話を進めます。

NISAとは:運用で増えた分に税金がかからない制度

NISAをざっくり説明すると、投資で得た利益(運用益)に税金がかからなくなる制度です。

通常、投資で利益が出ると約20%の税金がかかります。100万円の利益が出ても、手元に残るのは約80万円。ところがNISA口座での運用なら、利益がまるまる手元に残ります。この差は、長く運用するほど大きく効いてきます。

制度の細かい仕組み(非課税で投資できる金額の上限など)は改正されることがあるので、最新の情報は金融庁や証券会社の公式サイトで確認してください。ここで押さえてほしいのは、「増えた分に税金がかからない」というシンプルで大きなメリットだけです。

【実体験】私は楽天証券で、毎月コツコツ積み立てています

ここからは私のやり方です。

私は楽天証券でNISA口座を開き、インデックスファンド(市場全体にまるっと投資するタイプの投資信託)を毎月定額で積み立てています。始めてから数年、途中でやめることなく続けてきました。

やり方は本当にシンプルです。

  • 毎月決まった日に、決まった額を自動で積み立てる(一度設定したら、あとは放置)
  • 買うのはインデックスファンド中心(個別の会社の株を選ぶ知識も時間もないので)
  • 相場が上がっても下がっても、金額は変えない

正直、最初は「これで本当に増えるのかな」と半信半疑でした。でも数年続けてみて、成績は市場の長期平均(年5〜7%程度と言われます)を上回るペースで推移しています。

……と書くと良いことずくめに聞こえますが、正直に付け加えると、これはたまたま相場が良い時期に積み立てていたという運の要素が大きいです。この先、下がる年も必ず来ます。

ただ、私は数字が下がってもへこみません。下がっている時期は同じ金額でたくさん買える「安く仕込める時期」ですし、歴史を見れば市場は暴落を何度も乗り越えて成長してきました。最近はむしろ「どこまで下がるかな、次はいつ上がるかな」と楽しみにしている自分がいます(笑)。

そもそも老後資金のための積立なので、見ているのは今の数字ではなく20年後20年後に上がっていればいいと思えば、目先の上げ下げに一喜一憂する意味はあまりありません。

楽天経済圏なら、口座の相性もいい

ちなみに私が楽天証券を選んだのは、もともと事業用口座が楽天銀行だったからです。銀行と証券の連携がスムーズで、資金の移動もラク。楽天カード・楽天銀行と合わせて楽天経済圏でそろえているので、ポイント面でもメリットがあります。(→個人事業主に事業用口座は必要?楽天銀行ユーザーが実体験で解説

よくある疑問:NISAの掛金は経費になる?

個人事業主がNISAを調べると、必ずぶつかる疑問がこれだと思います。「NISAの積立額って、経費にできるの?」

結論から言うと、NISAの積立は経費になりません

NISAはあくまで「個人の資産運用」であって、事業の支出ではないからです。事業用の口座やカードから積立してしまうと、帳簿上プライベートな支出(事業主貸)として処理する手間が増えるだけなので、積立はプライベートの口座からが基本です。

「じゃあ、掛金が経費や控除になる制度はないの?」という人は、後半で紹介する小規模企業共済やセーフティ共済がその役割です。NISAとはそこが大きく違います。(経費の考え方そのものは個人事業主の経費、何が落とせる?でまとめています)

iDeCoとNISA、私がNISAを選んだ理由

「個人事業主 NISA」で調べる人の多くが、iDeCoとどっちがいいのかで迷っていると思います。私も迷いました。そして私は、iDeCoはやらずNISAを選びました。理由は大きく1つ、流動性(=いつでも引き出せるか)です。

  • iDeCo:掛金が全額所得控除になる(=毎年の税金が下がる)強力なメリットがある。ただし原則60歳まで引き出せない
  • NISA:掛金の控除はない。ただしいつでも売って現金にできる

フリーランスの収入は、正直、波があります。いい年もあれば、ヒヤッとする月もある。だからこそ私は、「いざというとき動かせるお金かどうか」を最優先にしました。60歳まで引き出せないiDeCoは、税制メリットが大きいと分かっていても、自分の性格と働き方には合わないと判断したんです。

ただしこれは、あくまで私の状況での判断です。収入が安定していて、毎年の節税メリットを最大限取りたい人には、iDeCoはむしろ有力です。「節税を取るならiDeCo、流動性を取るならNISA」——この軸で、自分の状況に当てはめて考えてみてください。

共済との使い分け:私は「NISA+セーフティ共済」の組み合わせ

もう一つ、個人事業主の資産形成でよく出てくるのが共済です。私は実際に経営セーフティ共済に加入していて、NISAと役割分担させています。

私の中での整理はこうです。

  • NISA:老後資金を「増やす」担当。運用益非課税・いつでも引き出せる
  • セーフティ共済:掛金が全額経費になる。所得を下げて、税金や国保の保険料を抑える担当
  • 小規模企業共済:掛金が全額所得控除になる「個人事業主の退職金」的な制度。実は私、手元資金の流動性を優先してずっと見送っていたのですが、税金対策にはやっぱり必要だなと考え直して、今年加入しました

小規模企業共済については、正直ずいぶん迷いました。原則として長く続けることが前提の制度なので、「いざというとき動かせるお金」を大事にしたい自分の考えとは合わない気がしていたんです。でも所得が上がってくるにつれて、控除の大きさは無視できなくなってきた。NISAで流動性は確保できているし、控除枠は共済で取りにいこう——そう整理がついて、加入を決めました。

つまり今の私は、「増やすのはNISA、税金・保険料対策は共済」という組み合わせです。NISAには掛金の控除がないぶん、控除・経費側はセーフティ共済と小規模企業共済でカバーする。この体制にしてから、老後への漠然とした不安がだいぶ軽くなりました。

セーフティ共済の詳しい話(メリット・デメリット・出口の注意点)は、別記事で実体験ベースにまとめています。(→個人事業主のセーフティ共済は保険料対策になる

これから始める人へ:私が思う、たった2つのコツ

最後に、数年やってみて「これだけは」と思うことを2つだけ。

①少額でいいから、まず始めて「慣れる」

投資というと身構えますが、積立は月数千円からでも始められます。金額の大小より、「毎月積み立てて、上がり下がりに慣れる」経験のほうがずっと大事だと感じています。私も最初から大きな額ではありませんでした。

②下がった月に、やめない

積立投資で一番もったいないのは、相場が下がったときに怖くなってやめてしまうことだと言われます。最初のうちは、下がるとどうしても不安になると思います。でも、先ほど書いたとおり、下がっている時期は「安く仕込める時期」。そう捉え方が変わってくると、続けるのがぐっとラクになります。焦らず、淡々と。それだけで十分です。

まとめ:退職金がないからこそ、「自分の退職金」を作る

個人事業主のNISAについて、実体験をもとにまとめます。

  • 個人事業主には退職金も厚生年金もない。老後資金は自分で作るしかない
  • NISAは運用益が非課税。私は楽天証券で毎月定額のインデックス積立を数年継続中
  • 見ているのは今の数字ではなく20年後。下がった月は「安く仕込める時期」と構えて、淡々と続ける
  • NISAの積立は経費にならない。経費・控除の役割は共済に任せる(私はセーフティ共済+今年から小規模企業共済にも加入)
  • iDeCoとの分かれ目は「節税」か「流動性」か。私は流動性でNISAを選んだ
  • コツは「少額でも始める」「下がってもやめない」の2つだけ

繰り返しになりますが、投資は自己責任であり、相場は上がる年も下がる年もあります。この記事が「自分ならどう組み合わせるか」を考えるヒントになればうれしいです。

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